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バレンタインとリリー


ー元々、男の子が女の子にお花を贈るものなんだって。

ある夕暮れの図書室で、君はそう一言こぼした
その横顔はどこか白百合のようで、

ー君に花を贈ったって、

霞むだけじゃないか、という言葉が舌の上で転がる

ー君に花を贈ったって、君はチョコレートの方が良い、食べられるから、だなんて色気の欠片もないことを言うんだろう。

白百合は口元を微かに歪めて笑う

ーだって、しようがないじゃないの。好きなんだから。

好き、と動く口は紅い

ーでもね、
ーお花だって実は、食べられるものもあるのよ?

僕ははっとして君を見つめた

手元の植物図鑑は百合のページを開いている
僕はそのページに目を落とした
百合の鱗茎は食用になる、という一文

君の肩くらいの長さの黒髪が、冷たい風にそよぐ

ーでもあなたも、チョコレート一つくらい欲しいでしょう。面目もあるだろうし。

伏せたまつげが微かに震えて、頬には赤みがさしている

ー私、実はわりとお菓子作れるの。

しようがないから、ね、作ってあげるわ、と独り言のように呟く口は紅い

ー僕は、花が欲しい
ー百合が欲しいんだ

驚いたように僕を見上げている

我に返った僕は慌てて付け加えた

ーチョコレートも、ありがたくもらうよ。ただ、その、僕は百合が好きだから、夏、一緒に見に行こう、なんて。

ちんぷんかんぷんな僕の言葉に、君は鼻にシワを寄せて笑う


冬の空気は、夏にはまだ遥か遠い

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